事業再構築補助金 第1回目の申請を終えて
2021年05月10日
株式会社ハッピーコンビの荒井幸之助です。
事業再構築補助金の第1回目の申請が終了しました。申請時のアクセスに支障が出たり、申請期限が延長されたりもして、何かと不安定な状況でしたが、ひとまず申請を終えられた方は、ほっとされていることと思います。本当にお疲れ様でした。
さて、そんな事業再構築補助金ですが、その補助金のテーマを踏まえて、私が事業計画作成時のポイントだと思うことを大きく3つお伝えしたいと思います。
一つ目は、新たな事業を行う市場が期待できそうなこと、商品やサービスにニーズがあることです。魚釣り例えると、いずれそこに魚が来る、という確信や可能性が高ければ別ですが、魚のいない場所で釣りをしてもその努力は報われません。既存事業の市場、および新規に進出する事業分野の市場が今どうなっているのか、これからどうなりそうか、という経営環境、市場環境を確認して、思い込みでなく、これから期待できそうなことを客観的に確認することが必要です。
また、市場があっても扱う商品やサービスにニーズがなければ売れません。また魚釣りに例えると、魚はいるけど、その魚が食べない餌、ほしくない餌では釣れません。特にこれから進出する分野がこれまでと異なる市場、お客様を相手にする場合は、十分な確認が必要になります。経営者の勘も大切ですが、こと補助金申請の場合はそれを文章で表現しなければいけないので面倒なわけです。
二つ目は、新規事業に自社の強みが生かせるかどうかです。これまで既存事業を行ってきたご経験やノウハウがあり、それで売上を上げることができているわけですから、なんらかの強みがあるわけです。その強みを新規の事業でもいかすことが重要です。これは他社との差別化につながるかもしれませんし、収益化の礎になると考えます。今回の補助金は、既に一定の事業歴がある会社を前提としている感がありますので、そうした意味でも強みの分析とそれをどう生かすか、は重要なテーマと言えます。
場合によっては、魅力的な市場はあってもその事業ノウハウや経験がない場合もあります。その場合はそれを新たにどうやって取得するかということを考える必要があります。例えばその道のプロや専門家から支援を受けて協力しながら事業化する、なんていうのはよくありますし、他社とのコラボなどもよくある話です。
三つ目は、新規事業での事業化(収益化)の確実性をどこまで具体的に考えて表現できるかです。新規事業を継続的に売上を上げることができるような事業にすること、儲けを上げ続けることができるような仕組みを創ること、それを具体的に計画することが必要です。この点で、事業を数値目標で表した予想損益計算書の作成と、それを実現させるマーケティング戦略、実行部隊の編成、行動計画が必要になります。投資金額の大きさによっては、経営の安全性を示す資金計画の作成も必要です。
今回の事業再構築補助金では、既存事業から大きく転換した新規事業を行うことを前提とするのですが、そうした新規事業は基本的にリスクが高いと言えます。それは、その事業のノウハウや経験がないことが多いため、想定した売上げ目標、利益目標、資金確保の目標などの結果がぶれやすく、不確実性が高いと考えられるためです。それでも、事業転換や業態転換であれば、比較的リスクは低くなると思いますので、まずはその点から検討するのが良いと思います。
新分野展開や業種転換の場合、その事業にチャレンジするためには、そのリスクをどう減らし、事業化、収益化をどうやって実現するかが問われます。そして、補助金申請ではそれを計画として具体的に表現する必要があります。
事業に絶対の成功はないと思いますが、その確率を上げることはできると思います。だから面白いと思います。そのために、今わかることはぜひネットなどで調べたり人に聞いたりしててみて、ご自身の事業の方向性が良さそうかの裏を取る。良さそうなら、それをどうやって実現するかを数値で具体的に考える。そんな視点で計画を具体化していくと良いと思います。
補助金は、採択されればお金がもらえる嬉しい制度ですが、事業計画をつくることで事業のことをいろいろな視点で検討することができます。補助金の制度は、この計画作成にこそ意味があると思っています。ぜひこの機会を生かして、ご自身で計画を考え言葉にして、事業の成功確率を少しでもあげていただきたい、と思います。