みんなはどうしているか、という問い
2022年10月31日
株式会社ハッピーコンビの荒井幸之助です。
事業承継のお手伝いをしていると、多くの場合問題となるのが世代間の認識の差です。人それぞれの考え方に差があるのは当然ですが、仕事に対する姿勢や働くことへの意欲などに限ってみると、世代間の溝を痛感するときがあります。
この溝ができる原因は何かと考えるのですが、一つにはデジタル化への理解なのだと思っています。例えば、業種にもよりますがスマートフォンを使うことやメールで仕事をすることを良く思わない、という現役の経営者の方もいらっしゃいます。そんな小さな食い違いが、お互いに理解できない溝をつくり、大きくしていきます。
そうした判断に確固たる理由があれば良いのですが、実はあまりそのことをよく知らない事から来る不安や恐れなどの感情からきているのでは?と思うことがあります。
いずれにせよ、自ら歩み寄ることなく、自分に合わせることを前提として事業を繋いでいこうにも次世代の理解は得られません。私が関わっているのは主に事業経営の分野ですが、日々のニュースを見ていると、こうした世代間の溝が日本のいろいろな分野でできているのではないかと思います。
また不思議なことに、そうしたテクノロジーの進化を拒絶する経営者に多いのが「他の会社はどうしているのか?」という問いと、他社の行動の意味を考えずにただその真似するだけという経営判断です。
時代や経営環境はどんどん変わっていて、どうすればお客様の変化するニーズを捉えることができるのか、効率的な事業を行えるのか、付加価値を高めることができるのか、といったことを常に考えて行かなければならない厳しい時代です。それに対する行動は、それぞれの置かれた状況で変わってきます。ところが、そうしたことを自分で考えずに「周りがこうしているから。」という安易な理由で経営判断を行うわけです。そうした情報も得る必要はあると思いますが、他の会社がそうしているという理由だけで同じ行動を取ることは危険だと思いますし、無責任だと感じてしまいます。
世の中の空気やムードをなんとなく感じて、それに盲目的に従うことが無難という考え。さらにそれがいつしか世の中の「正しいこと」になっていく流れ。こういう空気間が経営者の判断に影響するだけでなく、日本の未来を創る意思決定にまで影響してきたとき、この国にはどういう未来が待っているのでしょうか。みんなの意見に異議を唱える人の話を聞いても考えずに、みんなと違うからという理由だけで叩くこと。経営の分野に限らず、みんなが同じ事を言っているから正しいということを一度自分で考えてみることがいろいろと必要なのかな、と自分としても見直す必要性を感じたところです。